本年度は,最終年度にあたり過去4年間(平成21年~24年度)の研究成果のとりまとめを行った.これまでの調査地域は,北海道南部から糸静線周辺地域の東日本の広範囲におよぶ.これらの地域に存在する伏在活断層・活褶曲などを明らかにして,地表に必ずしも顕著な変動地形を伴わない活構造の実態を把握し,そのとりまとめを行った.とりまとめとして,各地で得られた成果を,マッピングするためにDEMデータを活用して3D解析地形図を用いた表示を試みた.以下,主な結果の概要を記す. 1)昨年度に引き続き,伏在活断層の活動性を明らかにするために,内陸盆地でボーリング調査を行い,盆地内での地層の堆積速度と断層周囲の地形年代を対比することから,断層変位量および変位速度を推定する資料とした(山形盆地). 2)伏在逆断層・活褶曲に起因すると考えられる変動地形の抽出・マッピングのために詳細なDEMデータを用いて,各種の地形解析図を作成し,それらを3D化した表示を行った(各地の内陸盆地). 3)伏在活断層・活褶曲の把握のために反射法地震探査による地下構造データを新たに取得した(山形盆地).また,伏在活断層が多く分布する日本海側の堆積平野(ひずみ集中帯)において,既存の反射法地震探査データやボーリング資料の整理を基に詳細地形図・地質図・歴史地震資料・文献などともあわせてマッピングの基礎資料とした. 4)活断層本体が海域に分布することが予想され,その活動に伴って生じる地殻変動を把握するために,完新世~更新世の海岸段丘の分布と高度を整理して,海域を震源とする地震に起因する変動域を推定するためめの基礎資料としてまとめた.
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