研究概要 |
(1)湖沼での底質コアサンプルの採取と各種トレーサー濃度鉛直分布測定 霞ヶ浦,諏訪湖,木崎湖,などの湖沼において約1m程度の底質コアサンプルを採取し,2cm間隔で分割し,物性の鉛直分布などを測定した.こうしたサンプルをもとに,リンの分画を行い,過去の分析結果と比較することから,どの画分のリンが変化したかを解析した.また,こうしたサンプル中の色素組成を高速液体クロマトグラフィーにより測定する手法を確立した.さらに,有機物濃度とその同位体比分析のための準備を進めた.その前処理として酸による炭酸塩鉱物の溶解を行うが,それに伴う同位体比分別が問題となっていた.真空容器を用いた脱水装置を作成し,洗浄せずに酸除去を行うことで,同位体分別を無視できる程度に抑えることが可能となった. (2)流域,湖沼内での水,物質の流下経路,水質形成機構に関する調査,分析 筑波山地域等において,河川水、湧水等の水文調査、フロン類等のトレーサー成分の解析を実施し,当地域の地中水流動プロセスに関する概念モデルの構築を行うとともに,数値モデル化に向けた基礎情報を収集した. (3)降雨時に流入する土砂分析による湖沼堆積物の起源推定 霞ヶ浦流入5河川の順流部に浮遊砂サンプラーを設置し,定期的に回収し,サンプラーに溜まった懸濁物資料を回収した.それらに含まれる有機物・リン含量を測定するとともに,粒度分析などを行った.また,その地点での流速,濁度などの情報も収集し,浮遊砂サンプラーの懸濁物回収率を算定し,それに及ぼす河川や降雨の特性との関係を解析した.一方,ダム湖における細粒物質の起源の推定を行うため,早明浦ダム流域において,ダム湖に流入する斜面,河川からの細粒土砂流入量推定のための観測計画を策定した.また,三重県の日の谷池において,Cs-137,Pb-210exを用いた流域からの土砂流入履歴をはかる新しいモデルの開発を行った.
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