研究分担者 |
篠田 圭司 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40221296)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00183632)
奥平 敬元 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20295679)
西川 禎一 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (60183539)
隅田 祥光 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特任講師 (80413920)
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研究概要 |
計画の初年度として,ICP-MSを導入し,総ヒ素とHPLCと接続して形態別ヒ素の濃度分析のルーチン化を行った。総ヒ素に関して前処理法の改良をもう少し行う必要があるが,形態別ヒ素については,ヒ酸・亜ヒ酸・MMA・DMAなどのルーチン分析が可能になった。また,同時に土壌中ヒ素の分離方法も検討してきた。近日中に収集済みの試料の分析が始められる状態になった。 SPring-8において,ヒ素の一時供給物質であると考えられる黒雲母と緑泥石について,microbeam-XRFによる鉱物中ヒ素の分布とXAFSによるヒ素のイオン価の決定を行った。その結果,緑泥石中にヒ素が濃縮していること,As(V):AS(III)はほぼ1:1に近いことがわかった。緑泥石には針鉄鉱(FeOOH)が大量に含まれていることから,ヒ素がこの針鉄鉱に吸着されているのかどうかの検証を行っている。 バングラデシュ・ショナルガオの調査地域の涵養域で集中して地下水採取と5地点での掘削による帯水層堆積物の観察を行った。すでに得られているヒ素の形態別分析により,溶存酸素を含む涵養域の地下水にも亜ヒ酸とヒ酸が含まれており,溶存ヒ素のイオン価は地下水の酸化還元状態とは平衡していないことが明らかになった。また,涵養域の堆積物は全体に酸化的であり,化学的風化作用が進行していることを伺わせた。これらの結果は,化学的風化作用の進行によりヒ素含有鉱物が分解して,帯水層からヒ素が失われていることを示唆している。 以上の結果の一部はすでに学会で報告した。また,本年6月に開催されるGoldschmidt Conferenceで発表予定である。さらに,論文としてまとめつつあり,針鉄鉱とヒ素の関係についての検証がすみしだい,投稿する予定である。
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