研究概要 |
霞ヶ浦5地点,主要流入4河川で毎月水サンプルを採取して溶存有機物(DOM)分画等の分析に供した。また,毎月湖内3地点で底泥コアを採取して間隙水中のDOM,溶存態リン,溶存態窒素,硫酸イオン等のマクロイオン濃度を測定した。 冷凍保存サンプルを対象として,2006年,湖内5地点における溶存糖類組成を測定・解析した。溶存糖(DCHO)は湖水DOM(溶存有機炭素DOCとして)の3.0%-6.4%を占めた。DOMの生分解率(17%-40%)もDCHOの分解率(36%-90%)の方が高かった。湖水ではキシロースが卓越していた。 霞ヶ浦において過去28年間に渡って採取されてきた底泥表層(深さ15cmまで)コアサンプルの深度方向および歴史的な窒素安定同位対比(δ^<15>N)の変化パターンを合わせて解析した。堆積後の続成作用によるδ^<15>Nの低下幅は深層でより大きくなった。過去28年間の底泥表層15cmの窒素同位体比の変化は続成作用での同位体比の変化が無視できないほど大きいことが示された。 霞ヶ浦への河川からの起源別負荷をより明確に把握するために,霞ヶ浦に流入する大小29河川のうち流域面積が判明している24河川が流入するものに霞ヶ浦流動モデルをバージョンアップした。難分解性フミン物質濃度のシミュレーションにおいて,恋瀬川降雨時調査の結果からL-Q式を作成して降雨時の難分解性フミンの寄与を考慮した。結果,恋瀬川における難分解性フミン物質のピーク時濃度を良好に再現できるようになった。
|