研究分担者 |
山本 民次 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (40240105)
小野寺 真一 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (50304366)
佐藤 高晴 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (90196246)
於保 幸正 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (80152560)
地下 まゆみ 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (20406804)
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研究概要 |
本研究では、地下水流動及び河川作用(堆積作用)を考慮した短期的~長期的なリン循環の解明を行うとともに、その資源的評価を行うことを目的とした。特に、富栄養化によりリン総量規制対象となった瀬戸内海一級河川流域(芦田川、旭川、大和川)を対象とした。 (1)長期的(数千年スケール)なリン循環解明 (1)岡山平野の堆積物中のリン含有量は有機物と相関を有し,またバーミキュライト中に吸着され,おおよそ1万年前後にそのピークが確認できた.(2)岡山平野に広く分布する約10mの沖積粘土間隙水中の水素・酸素安定同位体比と化学成分をもとに,堆積後層間水が安定でその後の時間に比例した反応が確認できた.(3)瀬戸内海沿岸地下水中で認められる高濃度の無機態リンは,人為由来ではなく過去堆積したリン由来であることが示唆された. (2)短期的(1~数十年スケール)なリン循環 (4)農業用堰(小規模ダム)内のリン蓄積量・速度及び流出速度を分布型流出および生態系モデルによって確認した.その結果,10年経過した堰内には流域内への年間リン施肥量の約2年半分に相当するリンが蓄積され,さらに10年経過すると蓄積できなくなることを明らかにした. (3)沿岸におけるリン再生産及び資源的評価 (5)児島湾・湖の堆積物堆積構造,粒度,^<210>Pb年代にもとづくリン蓄積変遷を明らかにした.(6)大型干潟及び感潮河川での観測により,堆積物中からのリン再生産が全体の50~90%寄与することを明らかにした.(7)閉鎖性小海域(広島湾奥部)におけるリン収支解析及び広島湾全体での物質循環モデル(浮遊生態系-底生生態系カップリング)解析の結果,広島湾底泥表層に堆積した有機泥中からのリン供給率が少なくないことを明らかにした.(8)世界のリン需給におけるリン鉱石と流域自然系資源(地下水や河床堆積物)のバランス及び今後のリユースの重要性について評価した.
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