研究課題/領域番号 |
21241018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉岡 敏明 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (30241532)
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研究分担者 |
亀田 知人 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60333895)
グラウゼ ギド 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (60570017)
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キーワード | リサイクル / フィードストック / 複合材料 / 無機・有機原料 / ポリエチレンテレフタレート |
研究概要 |
ベンゼン生成に及ぼす反応温度、TPAガス濃度および反応領域の影響を検討した。その結果、TPAとCaOの気固反応の反応領域を分散させ、CaOの粒径を大きくすることで圧力損失を低下させ、キャリアーガス流量を増大することで、TPAガスを充填層内部まで浸透させることにより、炭素残渣の生成が抑制され、大幅に収率・純度が向上した。さらに、温度を高くするとNo.6では、炭酸カルシウム(CaCO_3)の脱炭酸が促進され、速やかにCaOに再生するため、さらに収率が向上することを明らかにした。また、触媒であるCaOについては、TPAの吸着にはある程度の比表面積および触媒活性が必要であるが、活性が強すぎるとベンゼン生成後の二次反応を促進し、収率が減少することを明らかにした。 金属含有PETとしてX線フィルム(PET+Ag)を試料に用いた。銀を回収するため、通気性を保存した石英製の試料ホルダーに試料を充填した。まず、水蒸気雰囲気下でフィルムを加水分解して生成したTPAをCaOと反応させベンゼンへ転換すると同時に分解銀を分離回収した。このとき複合材料へのCaOの添加効果を検討した。得られた液体生成物組成を検証すると、CaO未使用の場合生成物が多様化するものの、CaOを使用することでベンゼン純度が17.1%から77.9%に大幅に向上した。また、CaO未使用の場合のベンゼン収率は8.6%だったのに対し、CaOを使用することで41.6%まで向上した。銀は金属銀として平均95%回収することができた。 以上、本研究では、TPAとCaOの反応によるベンゼン生成機構およびベンゼン生成に及ぼす反応条件の影響を検討した。その結果、TP-Caを経由するベンゼン生成機構およびベンゼン生成に有効な反応条件を見出すことができた。さらに、PETのベンゼン化プロセスをX線フィルムへと応用し、平均95%の金属銀および41.6%のベンゼンを回収することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触媒とするCaOの適応範囲・反応条件をほぼ確定でき、実際に廃棄されたPET-Agフィルムからのベンゼン回収と金属回収が実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果の集大成として、様々な金属含有プラスチックの油化と金属回収について検討し、実用における化学設計指針を構築する。
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