研究課題/領域番号 |
21241026
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
金子 克美 信州大学, エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点, 特別特任教授 (20009608)
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研究分担者 |
大場 友則 千葉大学, 大学院・理学研究部, 助教 (80406884)
伊藤 努武 信州大学, エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点, 助教(受託研究) (40586822)
藤森 利彦 信州大学, エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用プロジェクト拠点, 助教(受託研究) (60586824)
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キーワード | 量子分子篩効果 / 同位体分離 / ナノ細孔 / 極低温気体吸着 / カーボンナノチューブ / 水素 / メタン / 活性炭素繊維 |
研究概要 |
量子分子篩効果測定用の低温吸着装置の調整を実施し、ナノ細孔系の構造キャラクタリゼーションを行い、水素と重水素における開口制御した単層カーボンナノチューブ系での量子分子篩効果の温度依存性の検討、メタンと重水素メタンにおける量子分子篩効果の検証、メタン系同位体における量子分子篩効果の統計力学シミュレーションの実施(千葉大学大場が担当)、量子分子篩効果の同位体反応用のナノ金属粒子分散触媒の調製と反応予備実験、を平成22年度に計画した。 上述の計画はほぼ達成し、表面増強ラマン散乱法による単層カーボンナノチューブの新構造決定法を開発また、活性炭素繊維の細孔構造とその機能の理解を深めたうえ、一部予想以上の同位体分離能を得た。更に、活性炭素繊維のスリット細孔構造をより明確にするために有機分子を導入した系についての精密なX線構造解析法の有用性を示した。超高純度のスーパーグロース法の単層カーボンナノチューブについては、20Kから77Kにおける極めて精密な低温吸着実験を実施し、チューブが開口していないナノチューブでの水素と重水素系で量子分子篩効果が存在することを示した。また、スーパーグロース法単層カーボンナノチューブを利用して、バンドル構造を制御し、水素吸着性との関係を明らかにした。カーボンナノチューブ類似のナノホーン中のメタンの沸点近傍のメタンの分子運動状態を明らかにし、メタンと重水素化メタンについてメタンの沸点近傍での量子分子篩効果を正確に検証した。また、経路積分法による量子モンテカルロ法でメタンと重水素化メタンについて吸着等温線のシミュレーションを実施した。 これらの研究によって同位体の新たな分離法が確立できる見込みとなり、将来的には新たな同位体化学反応法の創出と放射性廃棄物である同位体処理法の開発にも繋がる重要性がある。かつ、新ナノ細孔キャラクタリゼーション法は本研究課題だけでなく広く材料開発にも寄与できるものである。
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