研究課題
我々はSV40のメジャー外殻タンパク質であるVP1五量体の自己集合化能を利用したナノカプセル形成の研究を通じて、試験管内ではVP1五量体は生理的条件下でナノカプセルを形成しないが、DNAやマイナー外殻タンパク質であるVP2/VP3がナノカプセル形成を誘導し、DNAやVP2/VP3を内包したナノカプセルが形成される事を見出した。しかし、裸のDNAでは約2,000塩基対しか内包できないことがわかった。そこで、より長鎖DNAを内包するために、ヒストンとの複合体であるクロマチンを用いて、約5,000塩基対のDNAを含んだクロマチンがナノカプセル形成を誘導して、クロマチンを内包したナノカプセルは宿主細胞に高効率で感染できることを明らかにした。また、8nm、20nm、27nmのフェライトをVP1五量体で完全に被覆する技術を開発し、そのMRI造影剤としての有用性が見出され、応用展開が可能なレベルになった。さらにフェライト内包カプセル表面にEGFや合成ペプチドを化学的に固定化する技術を開発し、動物レベルでEGFR高発現がん細胞を標的としてフェライトを集積させる、すなわち細胞指向性を付与する技術開発に成功した。また近年、100nm、200nmやそれ以上のサイズの構造体をVP1五量体で完全に被覆する技術開発に成功し、十分量の薬剤などを標的細胞に運び込む新規キャリアの開発にも成功し、次世代医療に向けた高機能性ナノキャリア開発の主要技術がおおよそ確立されてきた。
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http://www.hands.bio.titech.ac.jp/j/j-home.html