研究概要 |
透過型電子顕微鏡法(TEM)と計算機トモグラフィ(CT)を組み合わせ、材料の内部構造をナノメートル(nm)スケールで3次元可視化できる電子線トモグラフィー法(Transmission Electron Microtomography, TEMT)に注目が集まっている。本研究の目的は、メゾスケール(nmとμmの間のスケール)の3次元観察が可能な"被写界深度が深い"光学系を備えた次世代のTEMTを開発することである。 通常、TEMTでは試料(板状試料)を70゜程度まで傾斜させ多数の透過像を撮影する。試料の傾斜に伴い、入射電子線に対する"実効的な"試料厚みは増加し(傾斜角度60゜では実効的な試料厚みはオリジナルの2倍になる)、従って、本申請のように数μmの試料3次元観察を可能とするためには、被写界深度の深い長焦点光学系を実現することが必須となる。本申請の全ての検討・開発項目は、いかにして被写界深度の深い明るい光学系を実現するか、という一点に集約されていると言っても過言ではない。本年度は、長焦点光学系を実験するための重要要素である高コントラスト(HC)走査型ポールピースと高感度検出器などの開発を行った。この際、試料内での電子の多重散乱による電子ビームの拡散(ブロードニング)のために画像に"ボケ"が生じることが予想され、また、実験的にも確認された。
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