研究概要 |
本年度は、効率的な開閉が可能な光駆動型分子ピンセットおよび細胞への応用が可能な分子マシンの構築に向けて、1)2',6'-ジメチルアゾベンゼンを導入した光応答性DNA、2)可視光応答する新規光応答性DNAの開発を行った。 まず、2',6'-ジメチルアゾベンゼンを導入した光応答性DNAでは、従来型の未修飾のアゾベンゼンと比較して期待通り幅広い温度範囲で光制御効率の大幅な向上が見られた。またNMRおよびコンピューターモデリングより、2'位と6'位へのメチル基導入に伴う光制御効率向上機構を明らかにした。更にそのcis体の熱異性化抑制機構も、モデル化合物との比較から明らかにした。 可視光応答性DNAの開発では、アゾベンゼンのアルキルチオ基の導入による極大吸収波長の長波長化を検討した。その結果、極大吸収波長が390nm以上に長波長化するためには、1)パラ位にアルキルチオ基の導入、2)S上のアルキル基は1級および2級が必要条件であることを明らかにした。この条件を満たす4'-iPr-thioazobenzeneを合成し、DNA中に導入したところ、期待通り400nm以上の可視光照射で、可逆的にかつ効率的に二重鎖形成と解離を光制御できることを明らかにした。 以上のように、当初目的とした2つの課題を達成することに成功した。
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