走査型力顕微鏡を走査型力(AFM)を透過電子顕微鏡の中に装着した。その際、光学系を変更し、色収差の少ない大きめのレンズを対物レンズとして選定した。3枚貼り合わせの色消しレンズを使用したが、100度程度のベーキングに対して、10-8乗Paの真空度が確認された。透過電子顕微鏡内でカンチレバーの振動制御が可能となったため、試料を探針に近接させ、フォースカーブを取得することが可能になった。TEMSPM、特にTEMAFMにおいて、NCAFMを構築することは長年の課題であったが、安定したフォースカーブ取得は原子分解能AFMをTEMで実現するための重要な成果である。今後、ナノワイヤー生成時の力の計測、原子レベルのTEM下摩擦計測などが可能となる。E.Meyerらの行った、振動印加による摩擦低減現象をTEMAFMを用いて確認した。彼らの論文で示されたものとは異なる周波数においても、同様に摩擦と摩滅の低減が実現可能であることを確認した。即時に摩滅の程度がTEMを用いて確認できる特長を生かし、シリコンや金属の摺動と摩擦、摩耗を調べた。超高真空原子間力顕微鏡においては、光学系の改善を行うとともに、ノイズ源の同定を行った。制御に起因するもの、AFMヘッドの構造的問題点に起因するもの、環境によるものなどを調べ、全体としてのノイズピークの低減を行った。その結果、比較的ノイズの少ないフォースカーブの取得を達成した。また、フォースカーブの微分をロックインアンプを用いて行い、微分値を制御対象とした制御を行った。制御の安定性の向上、アプローチルーチーンと撮像モードへの切り替え手法について考察と実験を行った。
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