原子間力顕微鏡において、従来の一定周波数シフト制御に代わり、新しい制御方法として、周波数シフト極小点制御を提案し、構想に基づく制御系を構築し、撮像を行った.探針原子と試料中原子の組み合わせによって、フォースカーブが異なるため、本構想の制御方法を用いると、擬似的にポテンシャルの谷の深さを可視化することが可能となる.シリコンや半田に新しい撮像方法を適応したところ、オングストローム大の特徴点が観察され、各点の周波数シフトのヒストグラムを取ったところ、離散的分布を示すことが明らかにされた.この結果は、組成の違いを原子分解能で可視化したことを示唆するものである.FIMAFMを構築し、エミッター先端に各種分子を修飾し、その振動的エミッションパターンを観測した.分子の骨格による差異を確認した.今後、エミッションパターンの変化から振動の変化を計測するとともに、振動の制御を行う.同装置は、組成コントラストを有するAFMの検証にも用いることが期待される.温度可変液中AFMで、探針の励振方向を試料面ならびに法線方向に連続的に変化させることのできる装置を実現した.純水中で雲母の表面に靄状に揺らぐ構造が存在することや、その像の高さのヒストグラムを取ると、雲母以外に、試料法線方向に離散性のある構造があることを示した.その構造は表面での水の構造を反映していると考えられる.つまり、雲母表面で、構造化した水分子が、分のオーダーで揺らいでおり、その大きさが10ナノメートルオーダであることを示唆する結果を得た。
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