研究課題
H21年度中に100個を超える二層グラフェントランジスタを試作し、グラフェンに強電界を印加して、2層グラフェンにだけ形成可能なバンドギャップの特性を調べた。グラフェンにソース・ドレイン電極を形成した後に、グラフェン上に直接アルミニウムを蒸着して1時間程度空気中に放置すると、グラフェンとアルミニウム界面に絶縁膜が形成される。このため、このグラフェン上のアルミニウムはゲート電極として使える。ゲート電極の電流リーク特性を詳細に調べ、ソース・ドレイン間電流よりも充分にリーク電流を抑制することが出来ることが分かった。(本法の再現性の高さと簡便さが評価され、複数のグループから情報提供を求められている。)さらに、高ドープ基板に電圧を印加して、グラフェンに電界を印加することも可能なため、アルミニウムゲート電極を併用して、グラフェンに強電界を印加出来るようになった。電界が1.5V/nm程度の時に、バンドギャップが形成されていることが温度変化から明確になった。この温度変化による実験から、グラフェンのバンドギャップが有効な電気伝導は、バンドギャップ中に存在する局在順位を介した電気伝導との大小関係によって顕著になるか、もしくは検出不可能となるかが実験で分かった。つまり、このバンドギャップ中の局在順位の密度は、グラフェンの電界効果移動度と相関していることもわかり、グラフェンの結晶性を向上させなければならないことが明確になった。今後、この点に注目した特性解明と特性向上の技術開発を進める。
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