研究課題
木島は,ヨーロピアンタイプのデリバティブ価格を評価するための近似法の開発を引き続き行った.昨年完成させた近似手法であるFunahashi and Kijima (2013)をアベレージオプションやバスケットオプションに適用して,極めて精緻な近似法を開発した.また,昨今の超低金利下における金利リスク管理モデルを開発して,住宅ローンポートフォリオの金利リスク管理に適用し,既存モデルに比べて精緻なリスク量を算出できることを示した.室町は,取引相手の信用リスクを考慮したデリバティブの価格付けモデルと,期限前償還の特性を考慮したRMBSの価格付けモデルを提案した.また,証券化商品の価格から将来の大損失に関する情報を読み出して評価に組み込むリスク計測モデルの開発を進めた.モデル中の数値シミュレーションに関しては,山下が協力した.田中は,短期金利が複数の金利モデル間でレジームスイッチする場合の債券価格やデリバティブ価格の導出に成功した.金利の変動過程がレジームスイッチする場合に加えて,金利の水準とともにモデルがレジームスイッチする場合でも対応できる.芝田は,企業が内部資金制約に直面すると仮定したときの最適な投資戦略を導出し,投資行動と内部資金調達との間における相互依存関係について分析した.また,企業が他社との競争に直面すると仮定したときの投資行動と内部資金調達との間における相互作用メカニズムについて考察した.飯星は,ゼロ金利制約下で金融政策ルールがレジームスイッチする場合のGDPやインフレの影響を数値計算し,政策レジームに関わらず不確実性の拡大がこれらの一層の下落を導くことを示した.渡辺は,対称ゲームにおいて利得が離散凹関数の場合のナッシュ均衡の存在を示した.これは,戦略集合(取引量や価格)が離散的な場合におけるマーケット・マイクロストラクチャ分析の基礎となる重要な成果である.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: (印刷中)
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