研究課題/領域番号 |
21241043
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
市川 隆一 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究所・時空標準研究室, 副室長 (40359055)
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研究分担者 |
小山 泰弘 (独)情報通信研究機構, 国際推進部門・国際連携研究室, 室長 (30359054)
ホビガー トーマス (独)情報通信研究機構, 電磁波計測研究所・時空標準研究室, 研究員 (20533798)
高島 和宏 国土交通省国土地理院, 地理地殻活動研究センター, 主任研究官 (30510937)
高橋 冨士信 横浜国立大学, 未来情報通信医療社会基盤センター, 教授 (50358818)
大坪 俊通 一橋大学, 社会学研究科, 准教授 (70358943)
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キーワード | VLBI / GNSS / 相関処理 / 周波数標準 / 位置認証 |
研究概要 |
本研究が目標とするのは、「不特定多数のユーザーが、いつでも、どこでも、その場所の正当性を客観的な手法で知るための技術」を開発することである。今年度は、各機関協力で実証実験を実施した他、解析ソフトウェアの高度化を進めた。情報通信研究機構と国土地理院は、GNSS搬送波位相データ取得と処理用PCで構成される時空情報正当性検証システムを用いて、GPS信号を記録する実験を複数回実施した。まず、つくばにおいて、一つのアンテナからの信号を二つの時空情報正当性検証システムで同時取得するゼロベースライン試験を行い、相互相関の結果千渉縞が得られることを確認した。その後、同システムの1台を鹿島に設置し、約54km隔てた2地点でGPS信号を同時に取得する実験を平成23年8月と1月に行った。取得したデータは、国土地理院、及び横浜国立大学において相関処理され、GPS信号の干渉縞検出に成功した。この処理では、横浜国立大学が市販のグラフィックボード(GPU)を用いたソフトウェア開発を進めた結果、CPU比で約1500倍にも及ぶ高速化に成功した。その結果、複数の衛星についての干渉縞検出が同時に可能となり、これは時空認証の堅牢性に多大な寄与のある成果と言える。一方、情報通信研究機購と一橋大学が、位置決定のため開発中のC++言語による測地技術ソフトウェア"c5++"には、平成22年末に公開されたIERS Conventions(2010)の物理モデルを導入し、衛星加速度モデル・地球回転モデル・局位置変動モデル・大気遅延モデルを組み込んだ。さらに、同ソフトウェアの解析結果を他機関の結果と比較し、実際の衛星レーザ測距データ解析に適用する等、妥当性を確認しつつ精度向上に務めた。併せて、独立な複数の宇宙測地技術データを解析可能とする改良を行い、VLBIデータに加えて衛星レーザ測距データも処理可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時空認証のうち、特に核となる空間認証を実現するための技術開発は当初の目標をほぼ達成した。一方で、実データに基づく3次元的な位置計測の実証、2地点間での時刻同期、時間認証の鍵となるタイムスタンプのデータへの付加などは今後の課題として残っている。したがって、表記の評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
まずGNSS信号以外の発信源も加えて実証実験を重ね、実データに基づく3次元位置計測を試みる。また、既に実績のある情報通信研究機構によるタイムスタンプ付加を先の位置計測結果に対して組み込み、時空認証された情報としての確立を目指す。2地点間での時刻同期については、これまで試験開発してきた衛星利用以外に、高安定クリスタルの応用も含めて検討する。
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