研究課題
本研究は、日本の温帯と冷温帯の沿岸生物群集を対象に、生産者と消費者の広域分散過程、および温度変化に伴う生産者と消費者の相互作用の変異を調べることにより、地球規模での環境変動に伴う沿岸生物群集の変化を理解し、沿岸資源生物および沿岸生態系の保全・管理に資する情報を提供することを目的とする。本年度は、下記の成果を得た。1:広域野外調査:昨年度に引き続きの野外定量調査を各地で行った。特に、東北地方では、2011年3月の東日本大震災に伴い大きく減少したアマモ場および岩礁潮間帯の生物群集の回復が認められた。2:過去の広域空間動態の把握:北海道のコンブ類について過去の長期変動を調べたところ、特に日本海海域において1970年代から2010年代にかけての大規模な減少が認められ、当該地域における水温の長期上昇傾向との関連性が示唆された。3:メタ個体群・メタ群集の解析:岩礁潮間帯群集およびアマモ場生物群集では、対象種および海域により、メタ個体群・群集構造に対する環境要因の類似性と地理的・地形的要因の相対的重要性が異なることが判明した。また、河川と沿岸域の間の物質および生物の輸送が生物群集動態に影響を与えることが明らかになった。4:集団遺伝解析:分布域の南北に2型が存在するコアマモについては適性水温域の違いから、今後、水温変動に伴い分布域が変わる可能性が示された。また、アマモについては、分布南限では、小型無脊椎動物類による負の影響により局所個体群間の遺伝子流動が制限されることが示唆された。5:種間相互作用の実験的解析:アマモ場の植物および草食動物に対するトップダウン効果とボトムアップ効果の相対的重要性は、気候帯により異なることが明らかになった。これより、温暖化の進行、および消費者群集の北上により、植物-動物間相互作用に変化が生じて生物群集動態が不安定化する可能性が指摘された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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