研究課題/領域番号 |
21241059
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (30188750)
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研究分担者 |
帯谷 知可 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (30233612)
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (10376626)
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (20390718)
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キーワード | ユーラシア / 社会主義 / 近代化 / オーラルヒストリー / ナラティブ |
研究概要 |
ユーラシアの現在を理解するうえで欠かすことのできない、社会主義時代の近代的変容について把握するために、過去の公的な記録写真や新聞記事(プロパガンダ・ナラティブ)、それらに関する人々の思い出の想起(記憶ナラティブ)など多角的な語りを収集し、比較考察した。平成22年度は、以下のような作業を行った。 (1)モンゴルについては、初年度に引き続き、学術文化行政に関する口述史を集め、テキスト化し、翻訳した。 (2)ブリヤートモンゴルについては、初年度、ロシア・ブリヤート共和国で収集した社会主義時代の写真資料と文献資料について分析した。また、モンゴル国ウランバートル市において補足的な資料収集の調査も行った。 (3)ウズベキスタンについては、1920年代の女性解放運動を具体的な素材として社会主義的近代化について考察するため、この運動に関する先行研究のレビューを主たる目的として、論文執筆した。また、ウズベキスタンにおいて写真資料についての現状調査ならびに女性解放運動の記憶をめぐる試験的なインタビューを継続し、インタビューのテープ起こしを行い、その一部の翻訳を行った。 (4)キルギスタンについては、連携研究者に依頼し社会主義時代からポスト社会主義時代への移行に伴う農村地域の変容に関する社会人類学的な調査を行った。 中央および東北アジアのポスト社会主義諸国が現在抱えている問題は、社会主義時代の変容ときわめて密接な関係があり、かつ地域によって明確な違いがある。ほぼ同一の社会主義的近代化プログラムが国境を越えて実施されていたにもかかわらず、それらの実施時点で地域的偏差があり、その多様性が現在の際の源になっていることが具体的に明らかになった。
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