研究課題/領域番号 |
21242003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤岡 穣 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70314341)
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キーワード | 半跏思惟像 / 蛍光X線分析 / 3次元計測 / 金銅仏 / 鋳造技法 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究は、金銅製の半跏思惟像およびその関連作品について、蛍光X線分析、X線透視撮影、内視鏡およびマイクロスコープによる撮影、3次元計測といった光学的調査に基づいて各々の制作地の比定を試み、新たな研究基盤を築くことを目指す日韓共同研究である。 本年度は、日本では東京国立博物館、東京芸術大学、奈良国立博物館、奈良・神野寺、和歌山・極楽寺、韓国では国立中央博物館、同大邸博物館において金銅仏の科学的調査を実施した。なかでも、法隆寺献納宝物の半跏思惟像10体、韓国国宝78号半跏思惟像についての調査が実現したことを特筆しておく。このほか、関連作品の調査として、中国では南京市博物館において2009年に出土した南朝・梁代金銅仏を実見、近年整理が行われた南京郊外の棲霞寺千仏岩を踏査し、韓国では大邱郊外の邑内洞摩崖造像を踏査した。 この間の調査においては、飛鳥時代の金銅仏の鋳造においては、7世紀以前の日本の銅器と同じく、僅かに錫を含むものの、ほぼ純銅に近い青銅が用いられていることが確認された。 また、平成23年11月13日には、本研究の中間報告を兼ねて国際シンポジウム「半跏思惟像はどこで作られたか?」を開催し、閔丙贊・朴鶴洙氏は金銅仏の蛍光X線分析の方法と分析結果についての報告、加島勝氏は東アジアの金属工芸の素材に関する報告、藤岡は兵庫・慶雲寺および京都・妙傳寺の半跏思惟像について報告をし、その後、稲本泰生氏の司会によりパネル・ディスカッションを行った。参加者は60名ほどであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度で4年間の研究計画のうち3年間が経過した。科学的調査については、調査対象はほぼ計画時の通りであるが、計画時にはX線透過撮影、3次元計測を重視していたのに対して、研究を進める中で、むしろ蛍光X線分析調査の方が古代の金銅仏の制作地等を考える上では有効であると判断し、調査方法の主体を変更した。にもかかわらず、現時点では計画時に想定した通りか、それ以上の研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
調査は概ね順調に進んでおり、最終年度となる平成24年度には、補足的な調査を実施するとともに、これまでの調査の結果を踏まえた考察と報告書の作成に取り組む予定である。 その際に問題があるとすれば、報告書における写真掲載や調査データの公表に関して所蔵者の許諾が得られるかどうかということ、そして3次元計測データの有効な活用方法である。許諾問題については、できるだけ早く交渉を行い、可能な限りデータの公表に努めたい。また、3次元計測データについては、2次元の図面で報告するだけでなく、新たな活用方法の可能性について検討を進めたい。
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