研究課題/領域番号 |
21242006
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
谷川 恵一 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (10171836)
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キーワード | 国文学 / 文学論 / 芸術諸学 / 思想史 |
研究概要 |
本年度は、当初の計画に従い、フランスにおいてシンポジウムとワークショップおよび研究の打合せを開催した。2011年9月8日・9日の両日、パリのコレージュ・ド・フランスにおいて開催した国際シンポジウム「集と断片-日本に於ける「類聚」という営み-」は、個々の断片的作品を一つの統一したテクストにまとめあげていく営みに焦点を当て、「集のかたち:アンソロジーと全集」「世界における百科思想」「収集と分類」の三部に分け、日仏合わせて10名がそれぞれのテーマによる報告を行った。取り上げた作品は、中世禅僧による漢詩アンソロジー、和漢朗詠集、元・明時代における日用類書、和漢三才図会などであり、また、東西の百科思想の比較、日本における全集という制度などのテーマについても取り上げた。参加者はのべ約60名であり、会場において行われた活溌かつ有意義な討議を通し、個々の作品の構成に即しつつ<集>という営みについての問題を深め、共有することができた。これらの成果は、各報告者による論文として一本にまとめて刊行することにしている。また、2012年3月5日・7日・8日にわたり、パリのディドロ大学及びコレージュ・ド・フランスにおいて開催したワークショップにおいては、日本側の研究メンバーにより、「職人歌合」「断片の思想-志賀直哉と中野重治をめぐって-」「『十二類歌合』を読む-室町の学芸と機知-」というテーマに基づき、それぞれ断片の集成またはあえて断片を標榜する具体的なテキストを取り上げ、時間をかけてそれらの読解を試みた。大学院生を交えた参加者はのべ約40名で、いずれも熱心に聴講し、問題意識を拡張・共有することができた。これらのワークショップの間に、フランス側の研究メンバーと今後の研究の進め方・課題に関する打合せをもち、2012年9月に日本で開催する予定のワークショップのテーマ及び発表者等を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りシンポジウムとワークショップを開催することができ、またそれらによって日本文学の構成原理である<集>についての研究をおおむね所期の目的通り進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、2012年9日に慶應大学を会場に「断片というディスクール」をテーマにシンポジウムを開催し、本研究の最終的なまとめに取り掛かる。なお、当初計画していた2013年3月のワークショップは、最終年度であることを考慮して開催しないこととし、研究のまとめに全力を傾注することとした。予定していたワークショップの内容については、2012年3月のワークショップに追加して実施した。
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