研究概要 |
1.フィールド調査によるデータ収集 ドイツのトルコ系コミュニティについては,ベルリンにおいて,トルコ語・ドイツ語二言語使用者であるトルコ系住民を対象に談話データの収集をおこなうとともに,これまで収集したアンケート調査のデータに基づき,トルコ語とドイツ語の間の干渉,言語選択の要因について研究を進めた(林)。それと同時に,トルコ系・イタリア系移民のドイツ語習得との類似性を調べるため,ベルリンの日本語母語話者のドイツ語談話を収録した。その調査において,事前にドイツ語を学習しなかったり,ドイツ滞在後しばらくドイツ語学校に行かなかったにもかかわらず,かなりの高度なレベルのドイツ語を駆使している日本語母語話者も少なくないこと,そのようないわゆるGood Learnerの特徴も探ることができた(平高)。在日コリアンの言語については,いわゆる総連系の民族学校での授業参観とビデオ収録によるデータ収集を行った。特に1年生の生徒の朝鮮語習得過程について分析を進めている。また,韓国系の民族学校での言語に関するアンケート調査を行った(生越)。日系カナダ人の言語に関しては,これまで収集した自然談話録音資料の再分析に着手するとともに,カナダの研究者と分析の枠組み等について協議を行った(日比谷)。さらに,アイルランドにおける母語意識については,母語(Mother tongue)の定義およびそれに対する態度について,現地の高校で調査を行った。比較のために,東京の大学においても同様の調査を行い,その結果を分析している(マーハ)。 2.研究会の開催と研究打ち合わせ 今年度は以前から続けてきた「移民コミュニティ言語研究会」を4回開催し,当該分野で成果を上げている研究者の発表とそれに関する討論を行った。さらに,分担者間で頻繁に連絡を取りながら,研究の方向について議論を行った。
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