研究分担者 |
三宅 伸一郎 大谷大学, 文学部, 講師 (00367921)
二木 博史 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90219072)
井上 治 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (70287944)
白石 典之 新潟大学, 超域研究機構, 教授 (40262422)
二神 葉子 東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (10321556)
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研究概要 |
モンゴル国に現存する世界文化遺産エルデニゾー僧院の保存・保護に向けて,「過去の復元」(考古学・歴史学),「現在の利用」(建築学・文化人類学),「未来への保存」(文化財保存科学・仏教美術史)という3つの観点から,基礎研究と現地における準備調査を行った。基礎研究及び現地調査(2009年4月27日~5月4日,6月30日~7月5日,8月19日~8月27日,9月5日~9月13日)の成果は5月23日及び10月24日に大谷大学にて開催された研究集会にて報告された。 初年度(2009年度)は「過去の復元」において著しい成果を挙げることができた。2009年9月,現地調査にて,エルデニゾー僧院およびモンゴル帝国の首都カラコルムの歴史を解明する新たな文字資料2点を発見した。1点は1347年にカラコルムで建碑された漢文・モンゴル文による「勅賜興元閣碑」の一断片で,カラコルムに仏教寺院「興元閣」が建てられたことを証明する重要な史料である。もう1点はエルデニゾー内にある「ゴルバンゾー」寺の主殿の棟木に書かれた漢文とモンゴル文による墨書で,エルデニゾーの建立が明の万暦14年イヌの年,すなわち1586年に開始され,翌年竣工したことを示す生の史料である。9月11日,ウランバートルにて記者発表会を開催し,その内容はモンゴル国営テレビ並びにモンゴル国の主要新聞にて報道された。また,10月23日に大谷大学にて記者発表会を開催し,その内容はNHKテレビ,共同通信,そして主要紙(京都,讀賣,日経,毎日,朝日)によって報道された。また,エルデニゾーの成立史に関わる18世紀の未発表文書2件を収集することができ,これは2010年度に公表する予定である。この他,「現在の利用」及び「未来への保存」においても,寺院壁画の研究,現地での聞き取り調査など一定の成果をおさめており,これらは2010年度に研究が継続される。
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