研究課題/領域番号 |
21242024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深沢 克己 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60199156)
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研究分担者 |
齊藤 寛海 信州大学, 教育学部, 特任教授 (00020628)
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195580)
西川 杉子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (80324888)
堀井 優 同志社大学, 文学部, 准教授 (70399161)
勝田 俊輔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00313180)
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キーワード | キリスト教 / イスラーム / 宗派対立 / 宗教的寛容 / 他者性 |
研究概要 |
第3年目の平成23年度は、まず7月に東京大学で第5回研究会を開催し、10月の国際ワークショップの開催計画・準備状況を話し合うとともに、各メンバーが研究の進捗状況を報告し、それぞれについて質疑応答を交わすことで問題意識の共有と相互理解を深めた。 10月には「ヨーロッパ・地中海世界における諸宗教の相剋と融和」第2回国際ワークショップを公開形式で開催し、メンバー以外では海外からの招聘報告者としてフランスから3名の研究者とコメンテータとして日本の研究者も参加した。そこでは、中世南フランスの異端、近世イタリアの異端審問、近世フランスの宗教書出版活動、近世低地地方の秘密結社、オスマン帝国内のギリシア・カトリックを対象とする研究報告が行われ、活発な討論を経たうえで、異宗教・異宗派間の関係、とくに宗教的アイデンティティや宗教と政治権力との関わり、宗教と社会との関わりについて、さらなる研究推進のための示唆を得ることができた。 12月には和歌山県高野山で第6回研究会を開催し、研究体制と研究計画について検討した。さらに明治・大正期の仏基同一起源説、高野山と真言密教の関係史、仏教における「他者性」の問題について、歴史学や仏教学を専門とするメンバーおよび招聘研究者による報告がなされ、比較宗教史などの観点から幅広い討論がなされた。研究会に続いて金剛峯寺を初めとする宗教施設を訪れ、諸宗教の共存と融和や、その可能性を探求した人間の知的営為について認識を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初立てた研究計画に沿って、研究に参画する各研究者は個別の専門的研究を遂行し、それらの成果は雑誌論文や図書、学会発表などによって着実に積み重ねられている。また、国際ワークショップを成功させ、本研究の課題について知見を深めることができた。次年度の国際シンポジウムの準備も着実に進んでいる。以上により、最終年度に本研究の総括を用意できる段階に至った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成24年度は、国際シンポジウムを成功に導くことを最大の目的とする。この国際シンポジウムには、日本史や東洋史の研究者にも参加を要請し、学会組織との連携も視野に入れつつ、日本で開催するに相応しい視野の広がりを実現するよう準備を進める。さらに、この国際シンポジウム報告集を、適切な形で出版する計画も同時並行的に進め、4年間の研究成果を学界に定着させための検討を進める。年度末には最後の研究会を開催して、国際シンポジウムおよび4年間の研究活動の成果について総括し、反省点を整理したうえで、将来の新しい研究計画について討論する。
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