研究概要 |
本研究では、EPMA、hXRF、NAA等を用いて遺跡出土黒曜石産地同定を行い、同時に既存の分析例データベースと統合した上で、その石材消費行動と流通を考古学的に解析し、民族(俗)考古学等の研究との比較・総合によって得られた行動戦略モデルを通して、環日本海北部地域に展開した更新世人類社会の形成と変容のプロセスを明らかにすることを目的としている。 研究最終年度にあたる本年度は、研究の完成を目指して、前半は各研究項目の完遂と補足調査を行い、後半は研究計画全体の完成と報告書の作成作業を実施した。昨年に引き続き、黒曜石を利用した行動論的分析資料の獲得を意図した北海道北見市吉井沢遺跡の発掘調査(10月3週間)と整理作業(12月2週間)を実施した。国内(2箇所)およびインドで関連資料調査を行った。8月と11月に国際シンポジウム(Stories Written in Stones、セッション企画、8月20日~25日、ルーマニア国ヤシ市; Changes in Behavioral and Technological Adaptation around the LGM in Eurasia、11月29日、首都大学東京)にて研究成果を発表した(J. Lithic Studies, vol. 1, 2014.3)。黒曜石産地同定分析に関するロシア・アメリカ・韓国・国内研究者との国際共同研究の成果をまとめた英文の論集(BAR International Series 2620, 2014, Oxford)を刊行した。年度末に研究成果報告書2冊(計563頁)を刊行した。
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