研究課題
東南アジアにおける古代・中世考古学を創生するために、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、インドネシアでの現地調査を実施した。タイでは6~9世紀の都市国家連合体・ドヴァーラヴァティーの都市遺跡に3類型があること、交易窓口、貿易品供給地、そのネットワーク上の都市の3類型であることを解明。ドヴァーラヴァティーとクメールがメコン東岸にも浸透していることを初めて明らかにした。ベトナムでは初期チャンパ遺跡から出土した土器と瓦の検討に基づき、中部のトゥ-ボン川流域の重要性を指摘した。これらの中部河川沿いに成立した地方政体の連合体としてチャンパの実像を描くことができた。また一括出土銭の分析結果から、13世紀前半の陳朝から19世紀の阮朝に現れること、ベトナム人の領土拡張に伴う現象であることを明らかにした。出土銭研究は東南アジアでの新しい方法として今後の調査が期待できる。沈没船の調査研究はフィリピンにおいて盛んであるが、本研究でもフィリピン西部、15世紀のパンダナン島沖沈没船遺跡の状況と積荷の陶磁器についての研究を行った。積荷の主要部は中国、ベトナム、タイ産の陶磁器であるが、その他にも鉄鍋が大量にあったことは当時の中国-東南アジア貿易商品の実態だけでなく、東南アジアの鉄生産と供給についても重要な問題を提起することとなった。カンボジアにおいては近年の沈没船の調査研究をまとめるが、特に15世紀の沈没船、コッコン沖の例についての調査と文化財保存について新しい展開をまとめた。インドネシアでは西ティモールにある「巨石記念物」の現地調査を精細に実施し、現在も儀礼の場として機能している実態をエスノアーケオロジーの方法論からまとめることができた。以上、東南アジアの3~19世紀、古代から中世、近世に至る考古学を創生した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Kishimgami, S. Hamaguchi, H. and Savelle, J.A eds. Anthropological Studies of Whaling, SENRI ETHNOLOGICAL STUDIES
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古代
巻: 129・130合併号 ページ: 241-270
東南アジア考古学
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