研究分担者 |
高瀬 克範 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00347254)
木山 克彦 北海道大学, スラブ研究センター, 博士研究員 (20507248)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究系, 准教授 (60270401)
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 教授 (80274679)
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研究概要 |
23年度は,沿海地方北部において,初期鉄器時代防御集落であるエリザベトフカ1遺跡の住居址発掘調査を実施し,集落の詳細な内容把握を図った。沿海地方南部とアムール流域との共通性を持ちながら独特の特徴を持つ同時代早期の文化を確認し,さらに同時代後期の金属加工資料を検出し,沿海地方北部の初期鉄器時代の様相の解明に重要な資料が得られた。2月にこれらの資料の整理と記録化を進めた。また住居出土資料による,石器使用痕観察,採取植物資料の同定,スラッグ等金属加工試料分析,放射性炭素年代測定を進めている。また,新資料を含めた文化設定編年作業を進めている。 沿海地方では,来年度もエリザベトフカ1遺跡の発掘調査を進めるとともに,防御性集落の確認調査を実施する計画を,ロシア側研究者と協議した。 23年度は計画の中間期にあたり,成果と課題の検討のため中国・ロシア・韓国・日本の研究者らによる研究集会「東北亜早期鉄器時代考古国際学術検討会」を中国人民大学(北京)で開催し,それぞれの調査研究成果の発表と意見・情報の交換を行った。中国や韓国・ロシアの共同調査の新たな成果が紹介され,各地域の最新情報が得られるとともに,それぞれの見解の共通性や相違も確認できた。また,日本の弥生時代集落の紹介は各国研究者の関心を呼び,防御性集落に関する問題意識も共有できた。なお,この集会の内容は『中国文物報』,考古研究所ホームページにも紹介された。 国内の弥生時代集落との比較材料を得るため,福岡県板付遺跡,大阪府池上・曽根遺跡,奈良県唐古鍵遺跡・〓向遺跡などの現地視察と資料実見も行い,集落の比較材料を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査が順調に進み,資料が着実に蓄積されており,分析等も作業を進めることができた。また,資料調査や研究集会により,各国関連機関の研究成果・資料,国内弥生時代資料についても情報が得られている。研究の国際化については,密な連絡や機関訪問を通して,当初の予定以上に進めている。試料・分析数の増加や,成果の総合的な検討作業が,今後の課題であり,調査・整理,資料収集とともに進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は,引き続きロシア極東における調査と資料収集を進めながら,集落・生業・生産活動の解明を進め,同時に周辺地域・日本列島との比較作業,年代測定などを用いた広域編年の作成作業を進める。特に残渣分析などのあらたな方法を活用することを検討する。また,周辺地域の初期鉄器時代遺跡のデータベース・GIS化の作業も進展させる。25年度の最終年度に開催予定の国際シンポジウムの計画を進める。なお,成果の総括に向け,研究参加者の打ち合わせ・連絡をより密にしていく。
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