研究課題/領域番号 |
21242032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 義孝 京都大学, 文学研究科, 教授 (30115787)
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研究分担者 |
千葉 立也 都留文科大学, 文学部, 教授 (40163737)
宮澤 仁 お茶の水女子大学, 人間部下創成科学研究科, 准教授 (10312547)
杜 国慶 立教大学, 観光学部, 准教授 (40350300)
竹ノ下 弘久 静岡大学, 人文学部, 准教授 (10402231)
西原 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (30136626)
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キーワード | 外国人 / 人口減少 / 定住 / 地図 / GIS / 個票データ / 公的住宅 / 家族形成 |
研究概要 |
平成23年度の研究実績は、以下のように要約できる。 第一に、外国人データの分析として、平成23年3月に刊行した石川義孝編『地図でみる日本の外国人』(ナカニシヤ出版)所収の地図を用い、在留外国人の地域差、日本人と外国人の住み分け、地域人口の変化に対する外国人の貢献、などの分析を進めた。その結果、特に地方圏を中心に、既往研究で扱われてきた外国人集住地とは大きく異なる状況が確認された。こうした圏域では、外国人自体が少なく、外国人の流入や定住は、必ずしも人口減に対する有効な手立てとして機能していない。 第二に、主要国籍の在留外国人を対象とした調査を通じて、どのような条件が外国人の転入や出生を促し、どのような条件が転出を抑えるのか、に関する調査を進めた。就業・住居・教育・医療・同居状態・配偶関係などに着目したが、外国人の多くは定住化が難しい情勢にある(例えば、外国人の社会的上昇を促す基礎的条件と考えられる外国人子弟の教育は、順調に行われているとは言い難い)。これには、2008年秋に起こった世界同時不況や、2011年3月に発生した東日本大震災のインパクトも無視しえない。 第三に、在留外国人の支援策に関する調査を踏まえ、外国人の定住を促すための諸施策について検討した。しかし、日本政府による不充分な外国人政策も反映し、外国人の多くは定住が難しい情況に直面している。これに対し、地方自治体による外国人支援策は、自治体ごとに独自の工夫が確認される点は興味深いが、.自治体ごとにばらばらな傾向があり、標準的な施策の構築が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研実施の前半期間(平成21~22年度)に関する重要な目標であった、外国人地図帳は無事刊行された。この地図帳はこれまで各方面で好評を博しており、韓国語訳も刊行される予定である。後半期間の研究も、当初予定にそっておおむね順調に進んでいる。最終的な目標である英文図書の刊行も、なんとか実現できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
国・地方自治体の外国人支援策、ならびに、民間機関やNPO/NGOなどの支援組織に関する調査は、やや遅れている。また、在留外国人への世界同時不況や東日本大震災の影響に関しても、注意を向ける必要がある。
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