研究課題/領域番号 |
21242033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
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研究分担者 |
鳥越 皓之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80097873)
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40230940)
古川 彰 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90199422)
中村 律子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (00172461)
伊地知 紀子 大阪市立大学, 文学部, 准教授 (40332829)
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キーワード | ネオリベラリズム / グローバル化 / コミュニティ / 生活世界 / 生活人類学 |
研究概要 |
昨年度に開催した本研究の中間的総合のための国際ワークショップにおいて、ケニア、ネパール、韓国、.フィリピンの研究協力者とともに、現代世界における「小さな共同体」の変容過程と創造的潜在力について、各地域、そして3つの生活系の実態を考察することができた。この共有された知見と問題意識を踏まえて、今年度は、地域社会軸と生活世界軸をクロスオーバーして、異なる地域社会、異なる生活系のフィールドワークを共同で実施した。具体的には、東アジアを担当している中村(文化・創造系)、アフリカを担当している松田(社会・関係系)がネパールにおいて古川、および研究協力者であるトリブバン大学のミリゲンドラカルキと共同して都市部の水資源の調査を実施した。また松田は、東南アジア・文化創造系担当の研究協力者である福浦、チェンマイ大学のアナン・ラチャンジントとともに、北タイの森林環境保全とスピリチュアルムーブメントに関する共同調査を実施する。またアフリカ担当の田原(自然・生態系)、南アジア担当の古川(自然・生態系)は、中村とともに三重県東紀州地域の「小さな共同体」をフィールドにして過疎・高齢化におけるコミュニティ変容と潜在力に関するフィールドワークを実施した。これらの試みを通して、日本/東アジア、東南/南アジア、アフリカの「小さな共同体」の抱える課題とそれに対処する共同性に関する偏差と共通性についての知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、日常性の潜在的創造性に着目し、生活世界に依拠した社会理論を、現場からたちあげるための挑戦的な研究であった。従来、経済システムや文化・世界観、あるいは個人の合理的選択行為によって構成され解釈されてきた社会モデルを、日常性を基点に読み替えることで、時代と地域(文化)を超えた、別の普遍的モデルを析出し、日常性から創出される知恵と実践が、環境保全、紛争解決、地域開発にとって、重要な役割を果たしていることを、アフリカ、東南アジア、東アジア、日本の「小さなコミュニティ」から実証できた点は、大きな成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究の最終年次にあたるので、これまでの成果を総合し、具体的なフィールドのデータ分析を通して、日常性に依拠して生活人類学的パースペクティブを理論化することを目指す。そのために、二年度に開催した国際研究集会をふまえ、総合と課題析出のための国際セミナーを開催し、その成果を海外に発信する。
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