研究課題
本研究においては、「沖縄近代法の構造とその歴史的性格」を明らかにすることを目的にしてきた。沖縄近代法は、明治12(1879)年の沖縄県設置により、沖縄県においても明治の近代法が施行されることとなったが、沖縄県の特殊な沿革・歴史から王府時代の法制・慣習が引き続き残されることとなった。これはしかし日清戦後の明治28(1895)年に旧王府時代の法制にのっとった「間切・島制度」によって地方制度が確定され、「土地整理」という形で地租改正が行われる方針が確定していった。今回の研究で明治28年がその契機であったことを確認できた。またその間の、間切内法制定などにおいて慣習が変更されていったことも確認できた。沖縄近代法はその後も、明治政府の制定による国家法、県において制定され成文化された慣習法、純粋な慣習法が多層・多重に「形成」されることとなった。しかし大正9(1920)年前後に一般府県制・一般町村制の導入などによって基本的には国家法が包摂する所となったと考えられる。しかしながら、慣習レベルにおいては親族制度や家族慣行、土地制度などにおいて他府県とは異なる慣行・慣習が残るところとなった。研究グループは、これまでの研究成果を踏まえ、2012年3月早稲田大学において行われた「復帰40年シンポ」において「沖縄近代法の構造と歴史的性格」と題し研究代表者他5名が報告を行った。さらに2013年2月には『沖縄近代法の形成と展開』を研究代表者他分担者・協力者合わせて10名で執筆出版することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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