研究分担者 |
柳川 隆 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (60247616)
角松 生史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90242049)
高橋 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40282587)
大内 伸哉 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10283855)
田中 康秀 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00093518)
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研究概要 |
本研究の重要な目的は,法制度と市場機能の関わりに関する各法制度の効果と相互関係、およびそれらを踏まえた上での公正性と効率性の両方の観点から望ましい法体系のあり方について明らかにすることにあるが,本年度は,もっぱら具体的な個別問題に即しながら,その課題に取り組んだ。ワークショップの開催は,労働法分野1回,社会保障法分野1回,労働法・社会保障法分野連携1回,競争法分野3回,知的財産法分野2回,法経連携手法管理分野2回,計10回に及び,平成22年1月には,労働法・社会保障法分野連携での国際シンポジウムを1回開催した。それらの実施状況はウェブサイトで告知し,成果は約350頁の『2009年度研究成果報告書』(平成22年3月刊行)にまとめてある。それらと並行して,米・仏から計4名の研究者を招聘し,また研究分担者2名が英・仏・伊での調査を行って,欧米における社会保障・労働・競争政策の分野での法と経済の相互関係について情報を収集した。 それらの過程では,法学と経済学という異なる領域の研究者が多数参加して緊密な研究活動を行うという本研究の性質上,電子メールでの調整に加えて,2度の全体会議および各分野リーダーを中心とした2度の合同企画会議を開催し,研究活動の進行状況と予定についてメンバー間での共有を図った。 そうした活動の結果明らかになりつつあるのは,例えば,(1)法制度の静的なあり方と経済学的の効率性分析との間では必ずしも緊張関係がないのに対し,(2)判決例に代表される,法のダイナミックな作用について,経済学的発想はしばしば批判的・対抗的関係にたつ,ということである。すなわち,法学と経済学との間の学的な対抗関係とは,「法学か経済学か」という大きな次元で生じるものではなく,特に・法的推論形式と経済学的推論形式との間で生じるものであると,我々は考えつつある。
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