研究課題
平成21年度本研究計画では申請書に記載されている通りになされた次のような進歩を報告します。目標は2003~2008年にわたって実施されたアジア・バロメーターのデータを次の主題に焦点を当てた刊行物に向かうことである。「生活の質」と「新中産階級」について年度内に国際学術ワークショップをそれぞれ開催し、その討論を踏まえて改定版をほぼ完成し、英文学術雑誌上で刊行に向かっている。「社会資本」と「国際親近度」については2010年度初夏に国際学術ワークショップを開催し、同様に英文学術雑誌上に刊行することを計画している。これらのなかで、イングルハートの物質主義対脱物質主義の概念化、ハンティントンの中華文明と日本文明の区別を新しいエビデンスから一定の修正をもとめる議論をする。信頼と信任については最もよく使われ、アジア・バロメーターでも使った質問、「人は大体信頼できるものだ」と「人は注意しすぎることはない」がもっている偏りがどのような影響を与えているかについての世論調査における言語文化的な難しさを議論している。国際親近度については従来、政府間の親近度の測定のみがなされているが、本研究計画では市民の間の親近度が測定され政府間と市民間の親近度の格差について議論する。これらは同時に日本語で全5巻の学術書の刊行を計画している。「生活の質」について日本、韓国、台湾、中国、香港、シンガポールという6個の儒教社会を分析したものは既に英文学術書として刊行され(2009年)、その日本語訳は2011年に刊行される。同時に、本研究計画が日本の実証社会科学研究のなかでどのような意義を持ち、どのような課題に直面しているかを書き下ろす学術書の刊行を計画している。
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The Chinese Journal of International Politics Vol.3 Issue1
ページ: 1-34
Asian Economic Policy Review Vol.4 Issue1
ページ: 142-157
The Quality of Life in Confucian Asia : From Physical Welfare to Subjective Well-Being(Social Indicators Research Series)(Springer)
ページ: 187-232
https://www.asiabarometer.org/