本研究は、日本家族社会学会有志が1998年以降継続して実施してきた「家族に関する全国調査(通称NFRJ:National Family Research of Japan)」の一環として、同一標本を追跡するパネル法により現代日本の家族に関する全国規模のデータを収集し、家族の動態を把握しようというものである。 今年度は、第一に、追跡調査を継続実施した。6月と12月にニュースレター2・3号を作成して調査対象者に送付した。そして、1月に郵送で追跡調査(WAVE3)を実施した。基本的には前年度に実施したWAVE2の質問を繰り返したずねることを優先したが、一部、単年度で設置した質問も含めた。今年度は、研究会メンバーからの意見やニーズをたずねたうえで、5年間の調査期間の中間点にあたることから、意識項目を採用した。あわせて、政策提言につながる意識項目も含めた。 調査時には住所確認のハガキを同封して住所移転に対応した。1月中旬に発送し、2月初旬に1次督促を、2月中旬に再督促を行った。さらに、上記調査でこの1年の結婚経験が判明した対象者に、配偶者の属性をたずねる追加調査を郵送で実施した。対象者の住所ならびに名簿管理は、パネル調査の実績のある専門調査会社に引き続き委託した。 第二に、前年度に実施したWAVE2までのデータのクリーニング作業を行った。2009年度実施ならびに2010年度実施の2度にわたる調査データを連結し、研究メンバーが開発した専用ソフトを用いて、20数名の研究会メンバー全員が参加して作業を行った。この作業は、研究会メンバーが自宅で行う作業と、研究メンバーが会議を開催して検討する作業を組み合わせて実施された。あわせて、今後のクリーニングの方法や方針も確認することができた。 第三に、9月に成城大学において第3回研究会を開催した。この研究会では、パネルデータの扱いや分析の基本方法のレクチャーを行い、実際にデータを配布して実践的に学ぶ機会とした。第4回研究会を3月に開催予定であったが、地震の余波で開催することができなかったのは残念であった。
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