本研究は、国連ヨーロッパ経済委員会人口部により組織され、先進国が共同で行う国際比較研究「世代とジェンダー・プロジェクト(GGP)」に参加し、日本の少子化を世代とジェンダーの二つの視点から比較分析する。日本の未婚化.少子化の原因を国際比較の視点から分析し政策提言を導きだし、同時に日本から海外へ向けて情報発信を行うことを研究目的とする。本研究の方法は、第一に、参加国が共通の様式に基づき、経済・労働・教育・社会保障・家族政策等に関するコンテキスト・データを時系列で収集する。第二に、各国が共通の調査票を用い「世代とジェンダーに関するパネル調査(GGS)」を複数回実施しミクロ・データを収集する。このコンテキスト・データと「世代とジェンダー」パネル調査のミクロ・データを有機的、かつ多面的にリンクさせ分析を行う。平成23年度の主要課題は第1次調査から第3次調査までの連結データを用いた分析である。その成果として(1)日本とヨーロッパ諸国のGGSデータを用いた離家、結婚、出産、世代関係などに関する研究論文8本を所収した研究報告書をとりまとめた。(2)同時に、研究成果を(1)国際人口学会(2012年5月中国復旦大学)で招待報告(1本)し、(2)日本人口学会(2012年6月東京大学)でGGSに関する企画セッション(報告5本)を行うことが確定した。(3)GGPコンソーシアムから要請されていた(第1回調査に基づく)国際比較可能な基本集計、ならびに参加国が共同利用できる第1回調査の個票データのデータセットを作成しGGS本部に提供した。(4)ニューズレターとして調査結果の要旨を調査対象者に送付した(第4号)。(5)GGP本部主催の国際会議(ブタペスト)に出席し、他国より先行している第3次調査の進捗状況、結果概要を報告するとともにGGP参加各国に対して日本の調査実施までの問題点や改善点について情報提供を行った。
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