研究課題
本研究では、乳児を対象として「アクティブな知覚」である、能動的な知覚認知機能の発達の解明を目的とする。これまで申請者が解明してきた視知覚機能が、生後5ヶ月までの動かない乳児を対象とした「受動的な知覚」であるとすれば、その後の発達である、抑制と制御により自己の身体機能を有効に利用した「能動的な知覚」を対象とする。乳児が実際に活動する空間を、奥行きをもった三次元空間として見る能力はその1つである。平成21年4月から継続的に乳児実験を実施し、平成21年5月より国外の研究協力者と実験内容の打ち合わせをし、その打合せ結果を踏まえて、国内の研究協力者と打合せを行う予定であった。しかし、平成21年4月下旬から8月頃まで新型インフルエンザの流行により、乳児を対象とする実験を大学で行うことが困難になり必要な実験データを取得できなかった。さらに実験データ不足および5月頃からの大学の渡航自粛体制により国外の研究協力者との打合せやそれを踏まえた国内研究協力者との打合せを延期せざるをえなくなった。このため,研究費の繰越申請を行ない、平成22年9月末日までに予定の研究を完了することができた。研究成果の1つとして,Minnesota大学のYonas教授らとの共同研究から、下の位置にあるもののほうが上の位置にあるものよりも近くに見えるという、絵画的な手がかりからの奥行き知覚を生後4ヶ月の乳児でも可能であるという新しい知見が得られた。これらの研究成果はVision Sciences Society 10th Annual Meetingをはじめとする多くの国内外の学会で発表し、Experimental Brain Researchをはじめとする学術誌に5本の英語論文が採択された。
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Experimental Brain Research
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http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/