研究課題
本研究では、乳児を対象とした実験研究を実施し「アクティブな知覚」である、能動的な知覚認知機能の発達の解明を目的とする。これまで研究代表者が解明してきた視知覚機能が、動かない乳児を対象とした「受動的な知覚」であるとすれば、本研究では、抑制と制御により自己の身体機能を有効に利用した「能動的な知覚」を対象とする。その一つが、乳児が実際に活動する空間を、奥行きを持った三次元として見る能力であり、今年度は、両眼立体視と、絵画的な手がかりから三次元の立体を知覚する能力の発達を検討した。また、別の能力として、目の前の注意すべきものに注意を配分する注意の機能の発達を扱う。これらの能力は乳児から幼児期を経て学齢期となり能動的に外界にかかわるために必要な能力であり、後々の認知発達に必要な能力と考えられ、近年社会的に問題とされる「発達障害」を解明するための足がかりとなる基礎研究である。研究成果として、空間を知覚する能力については、生後6-7ヶ月の乳児が、内側の線の描かれ方(line-junction)と陰影という異なる絵画的手がかりから共通して三次元的な立体を知覚できる可能性を示し、Journal of Visionに英語論文が掲載された。さらに、東京工業大学の金子寛彦准教授らとの共同研究により、生後6ヶ月の乳児が、左右眼の像の垂直方向のずれである「垂直視差」を用いて奥行きを知覚できる可能性を世界で初めて実験的に明らかにし、英語論文を投稿中である。注意に関わる能力については、産業総合研究所認知行動システム研究グループ(熊田孝恒グループ長)、静岡英和学院大学の日比優子講師との共同研究を進めており、乳幼児健診の項目に注意に関わる能力を加える可能性について、日本小児神経学会総会でイブニングセミナーを開き検討した。その他、上記を含め計11篇の英語論文が採択され、また国内外の学会で多くの発表を行なった。
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http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/