研究課題
本研究課題では、前年度までに引き続き、「アクティブな知覚」である、能動的な知覚認知機能の発達の解明を目的として研究を行ってきた。2013年度は、単眼と両眼で空間を見る能力の発達および運動情報を付加した主観的輪郭図形の知覚について検討した。1.奥行き知覚における両眼手がかりの検討:乳児が奥行きを知覚する際の手がかりについて検討した。左目と右目は、位置が異なるため少し角度の異なる映像が映っている(両眼視差)。成人では、水平および垂直の両眼視差から奥行き知覚が生じる。これまでの研究では、4-6ヶ月の乳児は水平の両眼視差から奥行きを知覚することが示されているが、垂直視差への感受性は明確にされていなかった。本研究では、選好注視法を用いて20-27週の乳児が垂直視差を持つ刺激を有意に選好することを示した。我々の研究は、乳児の垂直視差への感受性を示す最初の証拠を提供するものである。さらに、水平と垂直視差を処理する際の特性が乳児では異なること、水平視差への感受性は生後27週でも未成熟であることを示した。2.運動情報を付加した主観的輪郭図形の知覚の検討:乳児が運動情報を付加した主観的輪郭図形を知覚できるかを検討した。同心円の一部を扇形に色を変えたパックマン図形を向かい合わせで4つ配置すると、輪郭が存在しないにもかかわらず主観的輪郭が知覚される。このような図形を構成する4つのパックマン図形について、上下で動きの位相をずらした際に、弾力感や剛体性が知覚されることが成人実験より明らかになった。同様の図形を乳児に見せた際に、主観的輪郭が知覚できる図形を選好することが示された。本研究は、乳児の注視行動を指標とした知覚実験の研究成果に基づき、奥行きや運動情報の処理に関わる乳児の視知覚の発達過程を明らかにすることに貢献した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/