研究課題
Luriaの神経心理学に基礎をおくDN-CAS認知評価システムを用いた認知機能の評価に関する研究において、特にプランニングと注意は情動・動機と密接に関連することが指摘されてきた。注意欠陥多動性障害児は、DN-CASにおいてプランニングと注意の標準得点が個人内差として低下することがこれまでの研究により示されてきている。本研究において、注意欠陥多動性障害のある対象児の行動選択に関して報酬と罰の関連からその行動選択の特徴を選択パターンの系列を分析することにより、彼らの報酬や罰に対する感受性の違いから定型発達児と異なる意思決定の方略を採用していることが仮説された。ギャンブリング課題を用いて、報酬と罰の異なるものの選択において注意欠陥多動性障害児は罰に関しては一貫した選択パターンが定型発達児と比べわずかしか出現せず、報酬に関してより多くの一貫した選択パターンを示した。このことにより注意欠陥多動性障害児が、報酬と罰に対して定型発達児と異なる感受性を示していることが明らかとなった。このことは、認知と情動・動機が密接に関連していることを示す証拠の一つなるものと考えられる。さらに認知と情動・動機との関連を発達的に検討するために共同注意・情動共有などの項目からなる、初期社会性発達評価尺度(AES)の作成を行い、健常乳児の6ヶ月から18ヶ月までの縦断的観察を開始した。これらのデータが次年度以降積み重ねられることにより、認知と情動・動機の発達的関連が明にできるものと考える。
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