研究概要 |
小澤は量子集合論と量子測定理論に関する以下の研究を行った。 1.量子集合論:任意の完備オーソモジュラー束上の量子集合論で実数の等号理論を構築した。量子物理量の値の同一性に関する完全に一般的な扱いが可能になった。 2.量子測定理論:Wey1環の位置と運動量を表現するために,一般の代数的量子論において非有界観測可能量をその概周期関数環の生成元として定義し,一般EPR状態の理論を構築した。これによってEPRに対するBohrの回答の数学的再構成に成功した。 西村は,量子質問計算量と量子版NPに関する以下の研究を行った。 1.量子質問計算量に関する研究:量子質問計算量は,盛んに研究されてきた量子計算モデルであるが,古典計算理論より限定的な質問の研究が中心であった。本研究では,従来の量子質問計算量の計算モデルより強力な質問を行う場合における量子質問計算量の下界を考察し,ある条件下において上界と一致することが明らかにされた。 2.量子版NPに関する研究:NP問題とは、答えがYesである条件が、多項式長の証明が存在して,多項式時間の計算能力でYesであると検証可能だという問題であると考えられる。NPの量子版では,幾つかの量子化が考えられる。本研究では,証明長が入力の対数である2つの量子もつれのない量子状態を証明とするモデルに対して,先行研究のNP問題に対するプロトコルの健全性(ある種の失敗確率)を改良した。 松原は,集合論に関する以下の研究を行った。一般連続体仮説,または,より弱いある仮定の下でPκλ上の非定常イデアルのプレシピテス性からλ上の非定常イデアルを{α<λ:cof(α)<κ}に制限して得られるイデアルの非飽和性を導くことに成功した。これにより,非定常イデアルたちの巨大基数的性質から一般連続体仮説の強い否定が得られるというこれまで知られていなかった形の結果を得ることが出来た。
|