研究課題/領域番号 |
21244008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 周 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (50183520)
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研究分担者 |
藤家 雪朗 立命館大学, 理工学部, 教授 (00238536)
中野 史彦 学習院大学, 理学部, 教授 (10291246)
足立 匡義 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30281158)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 函数方程式論 / 関数解析学 / 数理物理 / シュレディンガー方程式 |
研究概要 |
科学研究費補助金を用いて、主に外国人研究者の招聘、海外渡航による研究交流、研究発表、国内の研究会への若手研究者の旅費の補 助などを通じて、研究の振興を図った。既に得られている成果の一部として、研究代表者、研究分担者の研究成果について述べる。 中村(研究代表者)は、多様体上の散乱理論(伊藤健一(筑波大)との共同研究)、ランダム・ディスプレイスメントモデルのアンダーソン局在(F. Klopp (パリ大学), M. Loss (ジョージア工科大学), G. Stolz(アラバマ大学)との共同研究)、量子物性理論における フリーデル和公式の厳密な証明(甲元(物性研)、高麗(学習院大)との共同研究)、半古典極限での散乱行列の固有値の挙動(A. Pushnitski(キングス・カレッジ)との共同研究)などに関する研究成果を得た。 足立(研究分担者)は、定電場に漸近するような時間に依存する電場中での量子散乱順問題及び逆問題、さらには定磁場と時間に依存する電場が常に直交する空間内での量子散乱順問題に取り組んだ。 中野(研究分担者)は、減衰するランダムポテンシャルを持つ1次元シュレディンガー作用素において、対応する有限系の固有値 を適当にスケーリングして得られる点過程の体積無限大極限を調べた。 藤家(研究分担者)は、ホモクリニック軌道が生成するレゾナンスの虚部の下からの評価(J.-F.Bony, T.Ramond, M.Zerzeriとの共同研究)、シュタルク効果をもつシュレディンガー作用素のスペクトルシフト関数の完全な漸近展開の証明を得た(M.Dimassiとの共 同研究)。 これらの研究成果は、すべて出版、あるいは出版準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各年度ごとに、シュレディンガー方程式のスペクトル理論、散乱理論、関連分野の国際研究集会を開催して外国人研究者を招聘、あるいは関連研究集会の外国人研究者の招聘、研究代表者、分担者、協力者の海外渡航などにより、着実に研究交流、共同研究が行われている。数学研究においては、研究交流から短期間に全ての成果が現れるものではないが、既に上記のような研究代表者、研究分担者の研究成果の蓄積が各年度ごとにあり、順調に振興していると考えられる。 また、当該研究分野の若手研究者の育成も当研究課題の重要な目的であるが、新たな若手研究者の層が育って来ており、自発的な研究会や海外渡航への補助を行い、確実な成果を挙げていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が研究計画の最終年度にあたるが、来年度もこれまでと同様に、海外研究者の招聘、共同研究、研究代表者、分担者、協力者の海外渡航費、若手研究者の研究会出席のための国内旅費、等を中心に支出を行い、当該外研究分野の研究の振興、若手研究者の育成にあたる。特に方針の変更はない。
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