研究課題/領域番号 |
21244023
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
関本 裕太郎 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (70262152)
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キーワード | 電波カメラ / 超伝導検出器 / ミリ波 / サブミリ波 / テラヘルツ波 / 極低温 / 電波天文学 |
研究概要 |
テラヘルツ領域を含むミリ波・サブミリ波帯の広視野高感度天文観測用のイメージングアレイを実現するため、サブミリ波超伝導256画素検出器の試作・開発を行っている。宇宙創成のまもないころの低温の天体形成の研究を進める上で、宇宙背景放射を含むミリ波からサブミリ波の広視野高感度観測は極めて重要である。そのためのミリ波からテラヘルツの検出器は、世界中で競って開発されており、半導体ボロメータやTESボロメータをもちいてミリ波200画素-等価雑音(noise equivalent power)NEP~10-17W/Hz1/2が達成されてつつある。我々は、ALMA超伝導受信機の開発を通して得た低雑音化や高精度ビームパターン計測の手法を駆使し、極低温0.1KにてNEP~10-18W/rHzを達成する超伝導1000素子の2次元アレイ検出器の開発を目指している。 平成23年度は、1)分子線エピタキシー法による超伝導薄膜の高品質化2)レンズアレイをベースとした入力光学系の設計・試作3)超伝導共振器のための信号多重読見出し回路の開発をおこなった。 アルミニウム超伝導薄膜を高純度シリコン(111)基板上に結晶成長させることに成功し、その結果、NEP~6x10-18W/rHzを達成した。これは世界最高レベルの低雑音に相当する。 9素子のレンズアレイを設計試作し、ダブルスロットアンテナと組み合わせて、ビームパターンを測定し、設計値どおりであることを確かめた。さらにアンテナを含むサブミリ波100ピクセル検出器の試作をおこなった。 読出し装置の開発をおこない、100ピクセルが同時に読み出せることをしめした。256素子超伝導電波カメラの基本設計も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブミリ波256画素イメージングアレイの開発に向けて、低雑音の達成、9素子プロトタイプでのビームパターンの測定など要素技術の開発に成功し、100画素の試作などシステム化も含めて、概ね予定通りに開発が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本計画の目標であるサブミリ波256画素イメージングアレイを本年度試作、評価する予定である。低雑音、ビームパターンなどの要素技術は既に開発に成功しており、256画素イメージングアレイのシステム化をおこなう。
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