研究課題/領域番号 |
21244034
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸本 忠史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90134808)
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研究分担者 |
小川 泉 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20294142)
能町 正治 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (90208299)
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キーワード | 実験核物理学 / 素粒子実験 / 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 放射線、X線、粒子線 / シンチレータ / 超低バックグラウンド / 同位体濃縮 |
研究概要 |
本研究ではCANDLES III(UG)システムを建設し、^<48>Caの2重ベータ崩壊の研究を行う。CANDILES III(UG)検出器は、メイン検出器としてCaF_2シンチレータを、ベトー検出器として液体シンチレータを、シールド材として水の層を持つ複合型システムである。本システムを用いて、有効マヨラナニュートリノ質量(<m_v)にして0.5eV程度の感度を持つ実験を行うことを目的としている。本年度は、二重ベータ崩壊測定に入る前に、システムの性能評価・性能改善として、以下のことを行った。 1、長期測定に必要な安全管理システムの完全導入 装置内部に設置予定の、水面計・液体シンチレータの液面計の導入を行った。また、作業環境のガス検知およびその警報システムの運転を開始した。 2、検出器性能評価 検出器を構成する、CaF_2結晶・液体シンチレータ・純水などをすべてインストールした状態でのデータ収集を行った。最初に、CaF_2信号の効率よい収集のためのデータ収集システム(主にトリガーシステム)の開発を行った。このトリガーシステムは、液体シンチレータのトリガー効率を下げ、CaF_2信号のトリガー効率を上げるシステムである。このシステムにより、液体シンチレータのトリガー効率は1%以下にまで低減された。このトリガーシステムを用いて、CaF_2結晶のエネルギー分解能評価を行った。CaF_2結晶内部に含まれる放射性不純物によるα線のエネルギースペクトルから、エネルギー分解能4.3%(2.5MeV)を得た。これは、現在のシステムで想定されるとおりのエネルギー分解能であった。 3、低バックグラウンド測定 一週間のバックグラウンド調査のための測定を行った。CANDLESで予想されるバックグラウンド事象は、CaF_2結晶に含まれる不純物による^<212>Bi→^<212>Poの連続崩壊、^<208>Tlによるベータ崩壊があげられる。これらが想定通りの事象数で確認され、トリガーシステムに問題がないことが確認できた。また、現在のところ、上記の想定バックグラウンド事象以外のバックグラウンドは確認されなかった。今後は、上記のバックグラウンド事象を解析的に除去する共に、装置改造を行いつつ二重ベータ崩壊測定を続ける。
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