研究課題/領域番号 |
21244036
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 青司 神戸大学, 理学研究科, 教授 (80201870)
|
研究分担者 |
稲見 武夫 中央大学, 理工学部, 教授 (20012487)
坂井 典佑 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80108448)
細谷 裕 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50324744)
川村 嘉春 信州大学, 理学部, 教授 (10224859)
曹 基哲 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (10323859)
|
キーワード | Gauge-Higgs Unification / 標準模型を超える物理 / 余剰次元の物理 / FCNC過程 |
研究概要 |
代表者は1998年に、素粒子の標準模型を超える理論の魅力的な候補として、Higgsを高次元ゲージ場の余剰次元成分と見なす"Gauge-Higgs Unification (GHU)"理論を提唱した。この理論は、高次元ゲージ理論が一般に繰り込み可能でないにも関わらず、Higgs質量への量子補正が有限と成って量子レベルの階層性問題が解決される等、予言能力の高い理論であると言える。 当該年度の研究では、こうした高次元理論の、最近スタートしたLHC実験におけるものも含めた検証に関して議論した。研究代表者の研究としては、GHU理論において、常に標準模型を超える理論の試金石となってきたFlavor Changing Neutral Current (FCNC)過程の解析を行った。今年度は、特に最近標準模型の予言からのずれの可能性が指摘されて注目されているDΛ0メソンのFCNC過程に関して解析し、自然にFCNCを抑制する機構の分析と共に、余剰次元のサイズに関する上限を求め、国際的な学術雑誌に発表した。 更に、GHU理論の真に特徴的な予言として、ヒッグスや(質量を持つ)ゲージボソンのフェルミオンとの相互作用において現れる標準模型には見ちれない"異常な"非線形相互作用に関して包括的な分析を行い、その研究成果を論文として発表した。 また各分担者も、例えばSO(5)xU(1)GHU理論のLHC等での検証、といったテーマをはじめ、様々な高次元理論、その現象論に関する分野で今年度も大変に活発な研究活動を行い、多くの論文を学術雑誌に発表すると共に、国際会議での研究成果に関する招待講演等も行い、順調に研究成果を上げていると言える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、GHUにおけるFCNC過程の自然な抑制の機構の解析、余剰次元のサイズに関する制限、といったテーマに関して順調に研究成果が得られ、国際学術雑誌に掲載出来た。更に、"異常相互作用"に関する分析についても、当初予想していなかったゲージボソンの相互作用にも非線形性が現れるという知見を得ることが出来、大きな収穫であった。また、神戸大学で外国からも著名な研究者を招いてワークショップを開催した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者、分担者の研究は、現在まで当初の研究目的に合致した形で順調に進んでおり、引き続き、こうしたアクティビティーを維持して行きたい。理論物理学においては学術論文の発表が最も重きを置かれるべき研究成果であると言えるが、同時に、研究成果を国内外の国際会議等で活発に発表する事は、異なる視点の世界的研究者等との交流も可能にし大いに意義のある事であり、こうした活動にも力を入れて行きたい。
|