研究課題/領域番号 |
21244040
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
新井 康夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90167990)
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研究分担者 |
坪山 透 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (80188622)
原 和彦 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 准教授 (20218613)
三好 敏喜 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (20470015)
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キーワード | Silicon-On-Insulator / 放射線、X線、粒子線 / ピクセル検出器 / 素粒子実験 / 半導体超微細化 / 放射線イメージセンサー |
研究概要 |
本研究の目的は次世代の大型加速器実験等で必要とされる、薄く・高分解能で、高レートの荷電粒子測定が行えるピクセル検出器をSilicon-On-Insulator(SOI)技術を元にして開発することである。この検出器では放射線センサー部と読み出し回路が同一チップ上で一体化出来るという特徴がある。 チップ試作は夏と冬の2回設計・製作し、その後引き続きチップの評価を進めている。製造プロセスはラピス・セミコンダクター(株)の0.2 μm SOI FD-CMOSプロセスを元に、ピクセル検出器用に我々が開発した独自のプロセスである。 2011年度は、これまでに試作したなかで最大の面積(12.2mm x 18.4 mm)を持つ大型ピクセル検出器(INTPIX5)の設計・製作・試験を行った。この検出器は面積が大きいだけではなく、ピクセルサイズも12um角とし従来の17um角のピクセルと比べ画素面積を半分としながら、画素数は130万と大幅に増加させた。これにより、より高精度に荷電粒子の位置を検出することが出来るようになった。 また、これまで使用していたウエハーよりも純度が高く高抵抗率のFZ-SOIウエハーのプロセスも、温度処理プロセスの改良により処理出来るようになった。ただ8インチのFZウエハーは品薄の為、入手に時間を要したが、これによりより低い電圧で全空乏化が達成出来るようになった。この結果、検出器の薄型化が容易となり、分解能を悪化させる物質量の低減が行えるようになった。 さらに2011年秋にはCERN研究所でのビームテストを行う事が出来、数ミクロン以下の非常に良い位置分解能を示す事が出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種試験をおこないながら、徐々に読み出し速度、解像度、大面積化、低ノイズ化等を進めており、着実に検出器の性能が向上している。特に本年度は、高純度Floating Zone(FZ)ウエハーを用いた検出器の開発に成功し、センサー部の全空乏化がより低い電圧で達成出来るようになった。 また、東北大の電子ビームを使った実験結果の解析や、CERNでの陽子ビームを使った試験も行う事が出来、実際の実験での使用に向け実績を残す事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は本研究の最終年度であるが、残る課題(放射線耐性、センサー回路間クロストーク)の解決に向け、新たにSi層をもう1層加えた、Double SOIウエハーを導入し試験を行う予定である。 また、これまでの成果を秋に猪苗代で開催されるPIXEL2012国際会議で発表を行うと共に、論文等にまとめて行く。
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