本研究では長基線ニュートリノ振動実験T2Kの電子ニュートリノ出現事象の感度向上をはかり早期発見を目指すとともに、将来のニュートリノにおけるCP非保存探索実験実現のための道筋をつけることを目的とし、(1)ニュートリノの親粒子であるパイ中間子の生成断面積の精密測定や、(2)前置ニュートリノ検出器の改良のための検出器開発を行う。今年度は、CERN NA61実験で行ったパイ中間子の生成断面積の精密測定の結果を用いて、T2K実験のニュートリノビームに対する不定性を小さく抑える研究を行い、パイ中間子からの不定性を20%以下に抑えた。また、この結果を用いてT2K実験の最初半年のデータを解析して電子ニュートリノ出現事象の探索を行い、その結果を国際会議等で報告した。また、前置ニュートリノ検出器の改良のために、小型水チェレンコフ検出器の設計と制作を行い、次年度の研究でニュートリノビームを用いて検出器の性能するための準備をすすめた。
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