研究課題
ガンマ線帯域において他波長に比肩する感度を達成するためには、従来の非集光型検出器の限界を破り、ガンマ線の集光を可能にする新しい技術が必須である。ガンマ線レンズは、ブラッグ回折を利用したラウエレンズであり、レンズの素子としては、高純度のゲルマニウムあるいは銅などの数cm角サイズ結晶を用いる。例えば格子間隔0.2nmのゲルマニウム結晶を約0.7度傾けることで、電子陽電子対消滅線(511keV)を集光することが可能である。ただし必要な焦点距離が100m程度になることから、観測衛星として実現するためにはフォーメーションフライトが必要である。本研究では、このガンマ線レンズの基礎開発を行うとともに、焦点面検出器として用いる半導体コンプトンカメラの開発、及び「すざく」衛星を用いたラインガンマ線の観測的研究を行う。今年度は、シリコンとテルル化カドミウム半導体の両面ストリップ型素子を用いた、硬X線からガンマ線帯域まで撮像が可能なカメラ部のプロトタイプを用いた性能評価を中心に研究を進めた。結果として製作したカメラは衛星搭載を前提とした各種の環境条件を満足していると同時に、Spring-8における実験によって、詳細な位置応答特性を知る事が出来た。さらに放射線医学総合研究所における加速器実験のデータを加えて、これらの実測データを再現するようにモンテカルロシミュレーションをチューニングすることで、実際の衛星搭載検出器のモデル化を行うことの基礎データベースを確立することが出来た。
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IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 59 ページ: 70-76
DOI:10.1109/TNS.2011.2178432
巻: 58 ページ: 2039-2046
DOI:10.1109/TNS.2011.2154342