研究課題
本研究では、マルチフェロイック物質RMn_2O_5の磁気的・構造的・誘電的性質を解明してその巨大電気磁気効果の起源を解明する。平成22年度は次のことを実施した。(1)設置した大型中性子二次元検出器の初期テストを行い、不都合な点などを見つけて調整した。(2)韓国原子力研究所のHANARO原子炉に設置している二次元検出器の一号機を用いて、高効率中性子測定のための条件の洗い出しやプログラム開発を行った。いくつかの標準試料で構造解析が出来るまでに測定手法は進展した。(3)YbMn_2O_5の電気測定の実験からTmMn_2O_5と同様な外部磁場による電気分極の90度回転現象を発見した。また、この物質の強誘電相と磁気秩序相の温度磁場相図を完成した。(4)(TmYb)Mn_2O_5の混晶系の中性子実験をJ-PARCのi-xMATERIAで行った。同時に行った電気測定と磁気測定から温度組成相図を作成した。(5)放射光を用いて、中性子では実験が困難なEuMn_2O_5とSmMn_2O_5の強誘電秩序に伴う格子変調磁気歪みを測定して、これらの物質での磁気伝搬ベクトルの温度変化を間接的ながら求めた。(6)YMn^<4+>(Mn^<3+>_<1-x>Ga^<3+>_x)O_5におけるスピンカイラリティと分極の関係を偏極中性子実験により明らかにした。(7)EuMn_2O_5とYMn_2O_5の高圧低温での電気分極測定及び中性子磁気伝搬ベクトルの測定を行った。EuMn_2O_5では、これまでのRMn205では見られていない磁気伝搬ベクトルが初めて観測された。なお、平成23年3月に行うはずであった韓国での中性子実験と物理学会での発表は地震のために中止となり、平成23年度に一部繰り越して実施した。
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