研究課題
本研究では、マルチフェロイック物質RMn_2O_5の磁気的・構造的・誘電的性質を解明してその巨大電気磁気効果の起源を解明する。平成23年度は次のことを実施した。(1)地震の影響で日本でのJRR-3原子炉を用いた中性子実験が出来なくなっているため、大型中性子二次元検出の開発と応用実験は韓国原子力研究所のHANARO原子炉に設置している二次元検出器の一号機を用いて行った。(2)同じく、原子炉に設置している四軸回折装置を用いたRMn_2O_5の磁気構造解析の実験も日本では出来ない状況であり、韓国原子力研究所のHANARO原子炉に設置している四軸回折装置で実験を行った。実験により、EuMn_2O_5の高圧低温での磁気構造が解明でき温度圧力相図が明確になった。(3)RMn_2O_5の電気測定の実験を集中的に行い、奇妙なポーリング効果と隠れた秩序による記憶効果を見いだした。(4)平成22年度に測定した(TmYb)Mn_2O_5の混晶系の中性子実験の結果を再解析したところ、固相反応では均一固溶とはならずに完全分離して反応していることが分かった。これを確認するために、フラックス法で単結晶試料を作り、(1)の二次元検出器で構造解析を行ったところ、フラックス法では完全固溶した試料となることが分かった。(5)放射光を用いてYMn_2O_5の強誘電秩序に伴う格子変調磁気歪みと一様原子変位の測定を試みた。この測定のためにHeガス吹きつけ装置設置と多重反射回避プログラム開発を行った。その結果、信頼性の高い消滅則を得ることが出来て、強誘電相の空間群をほぼ確定した。
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J.Phys.:Conf.Ser.
巻: 320 ページ: 1-6
10.1088/1742-6596/320/1/012090