研究課題
本年度の研究計画に従い、縮退パラメトリック増幅器(OPA)の励起レーザーシステム(波長約710nmのチタンサファイアレーザー)開発を行った。これまでの開発では、後段のマルチパス増福器でのエネルギー取り出し効率が悪かった。チタンサファイアを励起するグリーンレーザーを集光性能の良いもの(M^2<9)に交換する事で、これを改善した。その結果、再生増幅器出力パルス光をパルススライサーに通した後のエネルギーで200μJ、4パス増幅後で4mJの出力を得る事ができた。繰返しは200Hzである。これを溝密度2000g/mmの回折格子対に通す事でパルス幅を50fsに圧縮した。パルス圧縮後のエネルギーは2.5mJである。励起レーザーシステムが稼働したので、OPAのテストベンチで赤外パルス光の増幅実験を行った。種光となる自己位相変調白色光には高強度の基本波スペクトル成分が含まれるため、これを除去するための誘電体多層膜フィルターを新たに開発し、種光はこれに通された後、BBO結晶に入射させる。励起光はこれと僅かに角度をつけてBBO結晶に入射し、増幅された赤外のシグナル光と相ドラー光のパルスエネルギーとスペクトルを測定した。シグナル光、アイドラー光とも1.2μmから2.1μmの波長域のスペクトル成分を持ち、パルスエネルギーはそれぞれ9μJ(シグナル)6μJ(アイドラー)であった。スペクトルの測定範囲は使用した赤外分光器で制限されており、実際には1オクターブ以上のスペクトル増幅が行えている可能性が高い。これら光源開発と同時に、高強度アト秒パルス応用実験の試験の為に既存のチタンサファイアレーザーを用いた高次高調波の実験も進め、イオンの速度マップ画像計測装置の改良を行った。その結果、周期22fsの超高速核波束振動(重水素分子イオン)を「極端紫外励起-真空紫外プローブ」の手法で初めて観測する事に成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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