研究課題
本年度は、東京大学柏キャンパスおよび大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの大型レーザーを用いて、3つの大きな課題に取り組んだ。具体的には、(1)超高速(>10km/s)衝撃条件下でのケイ酸塩鉱物の比熱計測および断熱緩和過程中における電離状態・解離状態の分光計測、(2)超高速(>10km/s)衝突による硫酸塩岩の脱ガスの分子組成の直接計測、(3)アンモニア・水混合氷の衝突脱ガス分子組成の直接計測、の3つである。第1のケイ酸塩の比熱計測からは、宇宙速度における衝突では、石英も輝石もその比熱が常温常圧状態に比べて数倍にまで上昇することが明らかになった。これは、天体衝突に際してのエントロピー増加が従来予想よりも遙かに大きいこと及び断熱膨張による衝突蒸気雲の加速が従来予想より遙かに長い時間にわたって起きることの2つを示している。これは、月を形成したとされる巨大衝突に際して周地球円盤の形成条件を大きく変更することになる可能性が高く、惑星科学的に非常に大きな意義がある。第2の硫酸塩岩の脱ガス分子組成計測からは、SO_3の大量生成が初めて明確に示された。これは、K/Pg衝突事件において地球規模の硫酸雨が降って大量絶滅が起きた可能性を強く示唆している。第3のアンモニア・水氷の衝突脱ガス計測からは、タイタンのN_2大気が、内部からの火山活動による連続脱ガスにも外部からのN_2直接持ち込みにも頼らず、地殻に豊富に含まれるアンモニアの衝突分解過程によって形成できることを示す結果を得た。これは、惑星大気の起源について、従来のどの仮説とも異なり、今後の惑星大気起源論において重要な役割を果たすことが期待される.
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