研究課題
1. 金属熱対流の対流実験については、前年度から実施している磁場中での熱対流実験により、ある限られた磁場強度とレーリー数の範囲で、2次元ロール状の対流パターンが自発的に逆転する現象を発見した。逆転は不規則に発生し、ポアソン過程と考えられる。またこの逆転の平均の逆転間隔は、対流運動が層内を1周する時間に比べて2-30倍長い。以上の結果は、地球磁場の逆転と似通った統計的な性質を示すものである。この逆転現象の発見を含めて、これまでの熱対流実験の結果は、Physical Review誌に3編の論文として公表した。また対流実験については、昨年度から設計・製作を行ってきた回転流体実験装置を完成させた。2. 対流実験の数値シミュレーションでは、外部磁場が対流に与える影響を調べるために水平方向に強い外部磁場をかけたときの対流の数値シミュレーションを実施し、実験結果と同様な、磁場方向に軸を持つロール状の対流セルの形成を確認し、その対流パターンが外部磁場の強さによって変調を受ける効果を確認した。また回転が対流に与える影響を調べるために、エクマン数が10E-6程度の高速回転下での熱対流のシミュレーションを実施し、螺旋状の流線をもち、回転軸方向に細長く伸びた対流胞構造の形成を確認した。3. 地球ダイナモシミュレーション研究では、地球自転速度がダイナモ作用に与える影響を調べるためのシミュレーションコードを完成させ、ある周波数領域では大きな磁場変動を引き起こすという予備的な結果を得た.
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