研究課題
黒潮域から流入する暖水の検出を,四国西岸に設置した水温計でモニターする体制を維持した。また、急潮の流速構造を観測するべく、対トロール漁網枠を取り付けた海底設置型超音波流速計の設置試験を伊予灘にて実施した。さらに、JCOPEの信頼性を検証しつつ、JCOPEデータを初期・境界条件としたFVCOMを用いて、数か月程度先を想定した急潮の中・長期予報モデルを構築し、本年度はハインドキャスト実験を行った。その結果、豊後水道における急潮発生時期の数値モデルによる再現や予報は可能であることを実証した(磯辺ほか,学会発表)。このモデルは、試験的に紀伊水道における黒潮系水の進入過程の再現計算に使用した(Sugimatsu and Isobe,2010,成果論文)。急潮の厚さを、既存のサーミスタ・チェーンによって実測し、これを定置水温観測網で得た表層水温と比較する体制を構築した。佐田岬定点における栄養塩観測と、月一度の内海と福浦定点における観測を、本研究計画期間中も維持した。さらに、既存データと過去の急潮発生記録を比較し、急潮発生前後の瀬戸内海西部における栄養塩変動の解析に着手した。内海と福浦定点における動植物プランクトンの月一度の観測を維持した。また、既存データと過去の急潮発生記録を比較し、急潮発生前後の現存量や種組成の変動について解析に着手した。また海色衛星データを利用して、過去の急潮発生前後における、豊後水道における衛星クロロフィルの時空間変動の検出に着手した。さらに、県水試がこれまでに蓄積した漁獲データを用いて、マアジ等の稚仔魚が急潮に応じて示す分布状況の変化についての検証を始めた。瀬戸内海西部の複数点で試験的にコアを採取し、珪藻遺骸の分析に着手した。
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Journal of Oceanography 66
ページ: 191-200